大黄甘草湯とは？効果・効能や飲み方、服用上の注意点を解説

大黄甘草湯は漢方の代表的な便秘薬です。欧米化した食生活などによって食物繊維が不足することも多くなり、慢性的な便秘に悩む方が増えつつありますので、興味がある方も多いでしょう。今回は、大黄甘草湯について解説します。

大黄甘草湯とは？

大黄甘草湯（ダイオウカンゾウトウ）は便秘薬と知られており、漢時代の古典書「金匱要略」で紹介しているシンプルな処方です。漢方では、病気の症状以外に個々の体質が重視され、体の状態や体質をあらわす「証（しょう）」という概念がありますが、大黄甘草湯の場合、どちらかと言えば体力充実の実証向けではありますが、証にはあまりこだわらずに用いることができます。

大黄甘草湯の効果・効能

大黄甘草湯は、腸の運動を活発に促すことで、便秘やそれにともなう腹部膨満感や皮膚炎、吹き出物などに効果があります。

便秘

便秘には、直腸性便秘、けいれん性便秘、弛緩性便秘の3つのタイプがあります。直腸性便秘は、便が直腸まで送りだされているのに便意が生じてこないというもので、便意を我慢することが多いと直腸の神経が鈍り、このタイプになります。

けいれん性便秘は比較的若い方に多く、腹痛を伴うことがあります。これは、大腸が緊張してけいれん性に収縮し、内容物の通過と排便に障害が起きている状態で、ストレスなどが原因で自律神経が乱れ、大腸が過敏になることが主な原因です。弛緩性便秘は、大腸の緊張低下や運動不足などが原因で大腸のぜん動運動が低下し、腸の内容物をスムーズに送り出せない状態です。このタイプ場合、お腹の張りや食欲低下などの症状も起こります。

大黄甘草湯に配合されている生薬

• 大黄（ダイオウ）
• 甘草（カンゾウ)

大黄甘草湯に配合されている生薬は、大黄と甘草の２種類です。大黄は中国原産の薬用植物で、アントラキノン系の大腸刺激性の下剤成分を含み、甘草には、便秘にともなう腹痛や排便時の痛みをやわらげる緩和効果があります。

大黄甘草湯を服用する際の注意点

一般的に、漢方薬は食前もしくは食間（空腹時）に服用します。一部の専門外来では生薬のまま調合することもありますが、多くの病院では簡単に服用できるエキス剤が使われており、これは煎じ薬を濃縮乾燥させたものなのでお湯に溶かすだけで飲めるものです。

なお、大黄甘草湯に含まれる大黄の子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血作用によって流早産の危険性があるため、妊婦または妊娠している可能性のある女性は服用しないほうがよいでしょう。また、大黄のアントラキノン誘導体が母乳中に移行して、乳児の下痢を起こすことがあるため、授乳中の女性は慎重に服用しなければなりません。

診察の際の注意

持病がある場合や、市販薬も含め他の薬を服用中の場合は医師に伝えるようにしましょう。また、次に該当する方も診察時には医師に相談してください。

• 医師の治療を受けている人
• 胃腸が弱く下痢しやすい人
• 高齢者
• むくみの症状のある人

副作用について

大黄甘草湯の服用で重い副作用はあまりありませんが、配合している甘草の大量服用によっては、「偽アルドステロン症」や「ミオパチー」などの副作用を引き起こすことがありますので、服用期間が長くなる場合は注意が必要です。また、甘草を含む他の漢方薬を同時に服用している場合、甘草が大量服用になることもありますので、次の薬剤との併用には注意してください。

• 大黄含有製剤
• 甘草含有製剤
• グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤

偽アルドステロン症の症状は、低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、むくみ、脱力感、体重増加、手足のだるさ・しびれ・痛み・つっぱり感・こわばり感、筋肉のぴくつき・ふるえ、筋肉痛などです。その場合、血清カリウム値の測定などを十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤投与などの適切な処置が必要になります。

また、低カリウム血症によってミオパチーがあらわれることもあります。ミオパチーとは、筋肉に異常が生じることで引き起こされる病気の総称で、障害を受けた筋肉がうまく働かなくなるため、筋力の低下や脱力感、四肢痙攣、運動麻痺などの症状があらわれます。この場合も血清カリウム値の測定などを十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤投与などの適切な処置が必要です。

個人差はありますが、胃の不快感や食欲不振、吐き気、腹痛、下痢などが起きることもあります。著しく体力が低下している場合や胃腸が弱い場合、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを起こしやすい場合には慎重に用いる必要があります。

いずれの場合も、服用後に異常が認められた場合には、副作用の可能性がありますので、直ちに服用を中止して、医師に相談するようにしてください。

まとめ

今回は大黄甘草湯についてお伝えしました。日常的に便秘に悩む方、市販薬では効きすぎてしまうので不安だという方は、ぜひ試してみてください。