柴胡清肝湯とは？効果・効能や飲み方、服用上の注意点を解説

子どもが頻繁に大泣きしたり、苛立って大きな声を出したりすることを、「かんが強い」と表現することをご存知でしょうか。そんな「かんの強い」子どもの気持ちを落ち着かせるとして知られているのが柴胡清肝湯ですが、そのほかにも子どもが発症しやすい症状に効果があります。今回は、その柴胡清肝湯について詳しくご紹介します。

柴胡清肝湯とは？

柴胡清肝湯（サイコセイカントウ）は、よく子どもに用いられる漢方薬で、森道伯が考えた処方です。漢方では、病気の症状以外に個々の体質が重視され、体の状態や体質をあらわす「証（しょう）」という概念がありますが、柴胡清肝湯の適応証は、熱証、血虚、気上衝で、つまり炎症、血流不足・貧血症状、のぼせ・イライラ・緊張・不安とされています。

柴胡清肝湯の効果・効能

柴胡清肝湯は、炎症をやわらげ血行をよくする効果があります。また、興奮した神経を鎮め、心と体の状態を改善するとされています。腺病体質で扁桃腺炎にかかりやすい子どもや湿疹などが出やすい子どもに向いており、具体的には、虚弱者や小児腺病体質者、およびこれに伴う慢性胃腸病や貧血、慢性桃炎、頸部淋巴腺炎、肺門淋巴腺炎、扁桃腺肥大、神経症、湿疹、神経症に効果があります。

柴胡清肝湯に配合されている生薬

• 柴胡（サイコ)
• 黄ゴン（オウゴン)
• 黄柏（オウバク)
• 黄連（オウレン)
• カ楼根（カロコン）
• 甘草（カンゾウ)
• 桔梗（キキョウ)
• 山梔子（サンシシ)
• 地黄（ジオウ)
• 芍薬（シャクヤク)
• 川きゅう（センキュウ)
• 当帰（トウキ)
• 薄荷（ハッカ)
• 連翹（レンギョウ)
• 牛蒡子（ゴボウシ）

柴胡清肝湯に配合されている生薬は、熱や炎症をさますものや血流を促進するもの、排膿を促すものなど、計15種類で、これらが同時に働くことでよりよい効果を発揮します。

柴胡清肝湯を服用する際の注意点

一般的に、漢方薬は食前もしくは食間（空腹時）に服用します。一部の専門外来では生薬のまま調合することもありますが、多くの病院では簡単に服用できるエキス剤が使われており、これは煎じ薬を濃縮乾燥させたものなのでお湯に溶かすだけで飲めるものです。

診察の際の注意

持病がある場合や、市販薬も含め他の薬を服用中の場合は医師に伝えるようにしましょう。また、次に該当する方も診察時には医師に相談してください。

• 医師の治療を受けている人
• 妊婦または妊娠していると思われる人
• 胃腸が弱く下痢しやすい人
• 高齢者

副作用について

柴胡清肝湯の服用で重い副作用はあまりありませんが、配合している甘草の大量服用によっては、「偽アルドステロン症」や「ミオパチー」などの副作用を引き起こすことがありますので、服用期間が長くなる場合は注意が必要です。甘草を含む他の漢方薬を同時に服用している場合も甘草が大量服用になることもありますので、次の薬剤との併用には注意してください。

• 甘草含有製剤
• グリチルリチン

偽アルドステロン症の症状は、低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、むくみ、脱力感、体重増加、手足のだるさ・しびれ・痛み・つっぱり感・こわばり感、筋肉のぴくつき・ふるえ、筋肉痛などです。その場合、血清カリウム値の測定などを十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤投与などの適切な処置が必要になります。

また、低カリウム血症によってミオパチーがあらわれることもあります。ミオパチーとは、筋肉に異常が生じることで引き起こされる病気の総称で、障害を受けた筋肉がうまく働かなくなるため、筋力の低下や脱力感、四肢痙攣、運動麻痺などの症状があらわれます。この場合も血清カリウム値の測定などを十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤投与などの適切な処置が必要です。

なお、山梔子の長期投与によって、大腸の色調異常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれることがあります。腹痛、下痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわれた場合や便潜血陽性になった場合には投与を中止して、CTや大腸内視鏡等の検査を実施し、適切な処置を行う必要があります。腸間膜静脈硬化症は、多くの場合、山梔子を５年以上にわたって投与した場合に発症するケースが多く、過去には腸管切除術に至った症例も報告されているため、十分注意してください。

いずれの場合も、服用後に異常が認められた場合には副作用の可能性がありますので、直ちに服用を中止して、医師に相談するようにしてください。

まとめ

子どもは、ちょっとした気温の変化などで扁桃腺炎になったり、少しの刺激で湿疹が出たりなど、大人とは比べものにならないほど繊細です。柴胡清肝湯は気持ちの高ぶりを抑えるだけでなく、これらの症状にも効果がある漢方薬ですので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

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