麦門冬湯とは? 効果・効能や飲み方、服用上の注意点を解説

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麦門冬湯とは? 効果・効能や飲み方、服用上の注意点を解説

漢方薬紹介

2019/03/21 麦門冬湯とは? 効果・効能や飲み方、服用上の注意点を解説

長引く咳は体力を低下させ、睡眠を妨げることもあるので早く治したいものですね。そこで今回は、古くから咳に効くとして知られている麦門冬湯について詳しくご紹介します。

麦門冬湯とは?

麦門冬湯(バクモンドウトウ)は、痰の少ない乾いた咳に効果のある漢方薬として、漢時代の古典書「金匱要略」で紹介されている処方です。漢方では、病気の症状以外に個々の体質が重視され、身体の状態や体質を表す「証(しょう)」という概念がありますが、酸棗仁湯の適合証は、中間証~虚証、燥証、つまり体力中くらい以下と乾燥とされています。

麦門冬湯の効果・効能

麦門冬湯には、のどを潤して咳を鎮める作用があり、痰の少ない乾いた咳や乾燥によるイガイガ感、切れにくい痰を伴う咳や空咳、咳によって顔面紅潮する人や風邪の後に残って長引く咳に用いられます。また、気管支炎や気管支ぜんそくなどの治療薬としても使われることがあります。

もともと麦門冬湯は、主に肺と胃における津液(シンエキ)不足と、気の不足である気虚(キキョ)を改善する漢方薬として使用されていました。津液とは、汗や尿、粘膜など体内の水分の総称のことで、気虚とは元気がなく体がだるい状態のことです。肺を潤す津液が足りなくなると咳が出たり、切りにくい痰が出やすくなったりします。

一方、胃の津液が不足すると口の渇き、唾液の減少、胃の不快感や、食欲の低下などが起こりやすくなると言われていますが、麦門冬湯は、このような症状の改善もできるとされています。

麦門冬湯に配合されている生薬

  • 麦門冬(バクモンドウ)
  • 半夏(ハンゲ)
  • 粳米(コウベイ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 人参(ニンジン)
  • 甘草(カンゾウ)

麦門冬湯に配合されている生薬は、麦門冬、半夏、粳米、大棗、人参、甘草の6種類です。のどを潤し粘稠な痰を出しやすくする潤性薬の麦門冬、こみ上げる咳や吐き気を鎮める降性の半夏、滋養強壮作用を持つ潤性の人参、消炎効果のある粳米、緩和効果のある甘草など、これらが同時に働くことで、よりよい効果を発揮します。

麦門冬湯を服用時の注意点

一般的に、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に服用します。一部の専門外来では生薬のまま調合することもありますが、多くの病院では簡単に服用できるエキス剤が使われており、これは煎じ薬を濃縮乾燥させたものなのでお湯に溶かすだけで飲めるものです。

診察時の注意

持病がある場合や、市販薬も含めほかの薬を服用中の場合は医師に伝えるようにしましょう。また、次に該当する方も診察時には医師に相談してください。

  • 医師の治療を受けている人
  • 妊婦または妊娠していると思われる人
  • 胃腸が弱く下痢しやすい人
  • 高齢者
  • むくみの症状のある人
  • 高血圧、心臓病、腎臓病診断を受けている人

副作用について

麦門冬湯の服用で重い副作用はあまりありませんが、エフェドリンやテオフィリンなど交感神経刺激作用のある薬との併用は注意が必要です。また、 配合している甘草の大量服用によっては、「偽アルドステロン症」や「ミオパチー」などの副作用を引き起こすことがありますので、服用期間が長くなる場合にも注意が必要になります。甘草を含むほかの漢方薬を同時に服用している場合も、甘草が大量服用になることもありますので、次の薬剤との併用には注意してください。

  • 甘草含有製剤
  • グリチルリチン

偽アルドステロン症の症状は、低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、むくみ、脱力感、体重増加、手足のだるさ・しびれ・痛み・つっぱり感・こわばり感、筋肉のぴくつき・ふるえ、筋肉痛などです。その場合、血清カリウム値の測定などを十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤投与などの適切な処置をしなければなりません。

また、低カリウム血症によってミオパチーが現れることもあります。ミオパチーとは、筋肉に異常が生じることで引き起こされる病気の総称で、障害を受けた筋肉がうまく働かなくなるため、筋力の低下や脱力感、四肢痙攣、運動麻痺などの症状が現れます。この場合も血清カリウム値の測定などを十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤投与などの適切な処置が必要です。

ほかにも、咳や息苦しさ、息切れなどの症状がある発熱間質性肺炎や、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる肝障害などが報告されています。

いずれの場合も、服用後に異常が認められた場合には副作用の可能性がありますので、直ちに服用を中止して、医師に相談するようにしてください。

まとめ

今回は、麦門冬湯についてお伝えしました。長引く咳は、本当に煩わしいものです。1日も早く快適に過ごせるよう、用法・容量を守って、上手に漢方薬を活用していただきたいと思います。

 

 

 

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